杉並区が管理する善福寺川緑地では、桜の老木に営巣したニホンミツバチをオオスズメバチから守るため独自の対策を施しています。
トリカルネットと呼ばれるプラスチック製の硬いネットでニホンミツバチの巣の出入り口を木の幹ごとカバーし、ケーブルクリップ(とめ具)で固定しています。
金属のネットより安価で扱いやすいというのが利点です。
ネットのピッチ(内径)は6mm~7mm。ニホンミツバチは通れますが、オオスズメバチおよび他のスズメバチも潜り抜けることができません。
じつはこの群、昨年の同時期にはオオスズメバチの襲撃を受け殲滅の憂き目にあっていました。
善福寺川緑地の管理事務所の方が、今回満を持して施した対策と思われます。
9月はオオスズメバチの襲撃が本格化する時期ですが、取材した9月14日13時の時点でスズメバチの飛来はありませんでした。
公園など公共空間でのオオスズメバチ対策は、利用者および通行人の安全を守る必要からよりいっそう厳しい目が向けられます。
「オオスズメバチをおびき寄せている」という理由で、予防策としてニホンミツバチ群が駆除されてしまうことも少なくありません。
善福寺川緑地のこの方法はオオスズメバチの侵入を許さず、したがって凶暴性を誘発しないので人間にとっても安全です。
都市部における緑地や公園の存廃について議論がなされるとき、生息する鳥獣による被害や危険生物の存在が問題視されます。
このオオスズメバチ対策のような、ある種のゾーニング(zoning:区分け)の有効性は解決へのひとつのヒントになりうるはずです。
◆参考リンク
善福寺公園のニホンミツバチ観察案内2023/5月28日