弊会では『工農業事見聞録』に記された当時の巣箱の記録を養蜂文化の観点から高く評価しています。ここに巣箱の設計図とデータを公開し広くこの史料が活用され検証されることを期待します。また、多くの著作を遺した村松 標左衛門という人物とその功績について、多方面から再評価がなされることを望んでいます。
以下、メートル法に直した設計図と巣箱解説の訳文要約です。
熊野型古式巣箱の設計図
熊野型古式巣箱の寸法
A 33.3cm (13.1inch)
B 60.6cm (23.8inch)
C 45.3cm (17.8inch)
D 9.0cm (3.5inch)
E 27.3cm (10.7inch)
F 39.3cm (15.4inch)
板厚 3.0cm (1.1inch)
※小数点第二位切り捨て
解説文の現代語要約
・入口は巣箱の端から三寸(9cm)奥にあり戸板が立てられている。
・指し戸(前方戸板)は両脇の板に片側2本ずつ竹釘でとめられている。
・後方の板は取り外せる巣箱もあるがミツバチが出入りする穴はない。
・板は一枚板がよく、板を継ぎ合せるのは避けたほうがよい。
・板材は松がよい。厚さは一寸(3cm)で鉄釘でとめる。
・穴はミツバチの出入り口で、数は1つから5つのものまで見られる。
『百万石と一百姓 学農 村松 標左衛門の生涯』清水隆久・著 農産漁村文化協会
『埋もれた名著「農業開奩志」 村松 標左衛門の壮大な農事研究ノート』清水隆久・著 石川農書を読む会
『工農業事見聞録』巻一~巻四 日本農書全集48 農産漁村文化協会
『工農業事見聞録』巻五~巻七 日本農書全集49 農産漁村文化協会